冬木立
冬木立
すっかり落葉した桜の枝
目を凝らし見上げたら
小さな芽が沢山ついていた
背の低い冬空の下で
一枝をゆらすこともなく
佇んで立つ冬の木々
何を主張してみせるでもない
ただじっと春が来るのを待っているかのよう
冬枯れの水草を映やした水面は
陽と陰を問わず澄んでいた
よどまぬように
水はゆっくりと流れてゆく
時に岩や堰が抗うも
水は自ままに形を変えると
右へ左へ流れて落ちる
よどまぬように
よどまぬように
幾度となく繰り返す四季
随分久しく会えてないね
旧友たちから届いた年始の挨拶
元気にしてますか
また会えるといいね
本年もよろしく
ラインや賀状で交わしたほんの短い言葉に
友人たちの顔が浮かんで
ほっとほっこり心が和む
いろんな町で暮らす各々の今
いつか再会の芽が膨らんだら
きっとまた会える気がして
それまで心がよどまぬように
抗い流されを繰り返す日々
見上げた枝には
春を宿した沢山の芽がついていた
繊細な影絵のような冬木立
花が咲く頃
ふらりとまた来ようと思った…