雨上がり

2月に花を咲かせた梅の木に、小さな実がついていた。

うっすらと赤みを帯びたそれは、まるで小さな桃飾り。

雨上がりの空気はすっきりとして、鼻の奥へと抜けてゆくよう。

枯れ草色の草むらは、すっかり緑になり、柿の木には沢山の若葉が開いていた。

久しぶりに見上げた枝葉に、せわしげなこの頃を脇へと置いて一呼吸。

桜が散ると、また別の花々が咲く彩りの春。

ずっと春のままだといいのに。

毎年抱くわがままな思いも、一緒に吸い込んだ午後…。

 


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